Timmy Regisford/Nyc Club Shelter(2006年11月15日発売/ポニーキャニオン)

yuzurusato2006-12-06


さて、NYハウス・シーンのレジェンド、ティミー・レジスフォードのニュー・ミックスの登場です。ティミーがレジデントを務めるパーティ「シェルター」15周年を記念してのミックスCDで日本独自の企画盤だそうです。最近はテクノ面白いなあウワハハハとそっちの方ばっかり聴いていたせいか、なんだかハウスのミックスを聴くのは久しぶりな気がします(実際は聴いているはずなんですが、それでもテクノの色合いの濃いエレクトロハウスが多い訳で)。

あくまで個人的な好みなんですが、こういうオーソドックスなハウス・ミュージックのミックススタイルはコップにゆっくりと水を溜めるようなミックスが好きです。緊張感と解放感をジワジワと溜めていきながら表面張力を超えてラストに水がこぼれるわ溢れ返るわもう大変みたいな歓喜をくれる。クラブで言えば朝方のご褒美タイムですね。そこまでにいかに飽きさせないでタメを作るかっていうところにハウスの醍醐味があるんじゃないかなと。

で、ティミーのこのアルバム。序盤のバー・サンバ“Morris”のセクシャルな歌声で先制パンチをしつつ、まさに先ほど申し上げたようなジワジワ、時に大きくなりそうなうねりを予感させつつ、そうはならずにやっぱりジワジワ。焦らし方が非常に巧みです。そして溜めに溜めたバイブレーションはラストのクエンティン・ハリス“Let’s Be Young”のめくるめくストリングスの竜巻で豪快に盛り上がり、同アーティストの“Haunted”でフィニッシュ。ウワ音もビートっもなんとも言えない雰囲気を纏っていて、酔いしれるという言葉がぴったり。当たり前ですが、DJによってなんでこうも曲の雰囲気が違うんですかねえ。オーソドックスなミックスだからこそ際立つ濃密な空気。DJってホント不思議です。

それと、ミックス中にズレとかが見られるのでライヴ・ミックスだと思うんですが,個人的にはこうしたその場の繋ぎの方がミックスの緊張感があって好きです。最近のミックスCDではLiveとかを使ってズレなく繋げてしまう作品も多いんですが、よっぽどのアイデアがない限り、それでやられてもつまらないんですよね。DJミックスも生もの。当たり前ですが、そのよさがしっかり伝わってくる1枚です。あ〜、クラブ行きたくなってきたあ!