The Futureheads/Hounds Of Love(2005年4月5日発売/Weaner Music International)

yuzurusato2006-11-16


2006年に取り上げるべき音楽がいっぱいあるというに己はなんで今2005年の曲を取り上げているのだしかもシングルをとお思いの方もいらっしゃるとは思うのですがそこをぐっとこらえていただき筆者は書かせていただきたいのです。

さて、リリー・アレン嬢の“LDN”同様ここでも取り上げるのはリミキサーです。ロンドンをベースに活動しているDJ/プロデューサーのポール・エプウォースことフォンズ(Phones)について。上のフューチャーヘッズのリミックスは現時点でフォンズのベストリミックスと思いましてご登場いただいた次第です。

2004年リリースのブロック・パーティ“Banquet”あたりから彼は様々なロック・バンドやエレクトロ系のアーティストたちのリミックスを手掛けるようになります。デス・フロム・アバヴ1979やエレクトロ歌姫のアニー、ザ・キルズ、ニュー・オーダー、ジ・アザーズ、ゴールドフラップ、最近ではミューズなんかも。彼のHPに行くとベイビーシャンプルズにもリンクが張られていて、どんな仕事やってどこまで関わっているんだと思わず問い正したくもなります。

彼の仕事の特徴を上げるとするならば、エレクトロを軸とし、カットアップなどを非常に上手く組み合わせた非常にソリッドなサウンドが上げられます。特に素晴らしいのがビートに対する感覚で、なんちうかエラくタイトでピンポン玉のように跳ね、すんごい前のめり感満載でぶっ飛んでいく鉄砲玉みたいなアグレッシヴなグルーヴなんです。で、そんな個性的なビートマナーを駆使して思わず踊り狂いたくなるようなリミックスに仕上げてくれちゃうわけですね。

フューチャーヘッズの“Hounds Of Love”ではそうしたフォンズ独特のビートにフューチャリスティックなシンセとカットアップとエコーを絶妙の位置で効かせたメロディックなウワものを組み合わせるという非常にケダモノ的なピークタイムチューンに仕上がっています。バンドの熱っぽい叫びがまた実にいい感じに衝動煽ってくれちゃいます。ニュー・オーダーの“Krafty”もこの系譜のリミックス。是非お試しください。

さて、なんでこのタイミングでフォンズを取り上げたかっちゅうと、書きたかったってだけではなく、実はパリジャン・パンク・エレクトロの2人組、ブラック・ストロボの新曲がこのフォンズとタッグを組んだ作品になっているからなんです。タイトルは“Shining Bright Star”で「Phons Industrial Vesion」として彼らのリミックスワーク集『A Remix Selection』に新曲として収録されます。で、これがフォンズの才能をさらに花開かせたさせたような作品。原曲にデペッシュ・モードナイン・インチ・ネイルズを足したようなメロディックでゴシックでインダストリアルなアレンジに仕上げ、ブラック・ストロボのMyspaceで聴くことのできる原曲を遥かに上回る素晴らしいロックなプロダクションを見せているのです。この曲への参加でフォンズ、一気にブレイクし、新たに爆発しつつあるロック×ダンスの重要プロデューサーになりそうな気がいたします。ということでダンス・ファンだけでなくロック・ファンの方にも是非要チェックしていただきたいフォンズなのです。<追記>
そんなことを書いてたらKitsuneから遂にフォンズ名儀でのオリジナル曲『Sharpen The Knives / Worryin’』がリリースされるアナウンスが出まして、これがあっさり過去最高の作品になりそうな感じ。ものすごいディストーション・ディスコです。こちらも要チェック。